コールドFE電子源は、他の電子源と比べて光源径やエネルギー幅が小さいので、高分解能観察に適しています。さらに高輝度かつ安定性な新型コールドFE電子銃を搭載したSU9000IIは高分解能観察のみならず、高品質な元素分析が可能です。それらの性能を発揮したデータを安定して取得できるよう、光学系の自動調整機能やデータ取得自動化を支援するオプション機能を搭載し、大量データの自動取得を可能にしました。
また、インレンズ形対物レンズを備えたSU9000IIは、EELSの測定が可能です。
SU9000IIは日立FE-SEMの最上位機種です。
低収差レンズの最高峰であるインレンズ型対物レンズを搭載したSU9000IIは、世界最高分解能 0.4 nm(加速電圧 30 kV)を達成しました。低加速電圧領域では0.7 nm(照射電圧:1.0 kV/オプション)を保証しています。
SU9000IIはハイエンドTEMと同様のサイドエントリーステージを採用しています。さらには高剛性フレームと耐騒音カバーによってさまざまな設置環境においても高いパフォーマンスを実現します。
加えて、SU9000IIの試料室は、従来と比べて一桁高い真空を保持できるのでコンタミネーションの影響を最小限に抑えることができます。
それらの性能を発揮したデータを安定して取得できるよう、SU9000Ⅱでは光学系の調整自動化機能を搭載し、連続データ取得をはじめとした、データ取得の自動化を支援するオプションソフト「EM Flow Creator」が搭載可能です。
SU9000IIのインレンズ型対物レンズは短焦点距離化による収差低減に有効な構造を有しています。
収差低減によって分解能が向上したことで、数nm以下の微細構造もより安定して観察が可能になりました。
低加速STEMの新たな可能性を拓く
散乱角を選択した暗視野STEM像
BF/DF Duo-STEM検出器(オプション)
SU9000IIに装着可能なBF/DF Duo-STEM検出器の暗視野では散乱角を選択した信号取得が可能です。試料と暗視野検出器面の距離を制御することでHAADF条件での観察が可能になり、Z-コントラストを強調した信号を取得できます。
主な特長
30 kVで0.4 nmの世界最高の二次電子分解能を保証
低収差と高輝度安定プローブ電流を両立した新開発コールドFE電子銃
試料ダメージの軽減などを目的とした低加速電圧性能
新たに0.7 nm(照射電圧:1.0 kV/オプション)を保証
光学系の自動調整機能やデータ取得自動化を支援するオプション機能を搭載し、大量データの自動取得を可能にしました。
コンタミネーションの影響を軽減させた超高真空試料室
さまざまな設置環境下でも、高いパフォーマンスを実現するための高剛性フレームと耐騒音カバー
サイドエントリー方式(試料交換位置が高分解能観察位置)による迅速かつ高分解能観察
SU9000IIの持つ、低収差のインレンズ型対物レンズおよびSTEM観察に適した光学系の構造はSEM/STEMの観察手法を拡張しました。
照射電子線の収束角を制御し、透過電子の検出面に干渉縞を発生させることによってSEM/STEMでの格子像が観察可能です。
右図は葉ろう石(pyrophyllite)の明視野STEM像です。(020)の0.445 nmの格子縞が観察できています。