JEOL独自のSpiralTOFイオン光学系を採用した超高質量分解能・高感度MALDI-TOFMSシステムです。
JMS-S3000はダイナミックレンジを大幅に向上し、SpiralTOF™-plus 2.0へと進化しました。従来装置とは一線を画する特長で、分析技術の最先端をリードし、合成高分子・材料科学・生体高分子などの幅広い分野で日々変化していく研究ニーズにお応えします。
特長
常識の限界に挑戦したSpiralTOFイオン光学系
飛行時間質量分析計の質量分解能・質量精度を向上させるためには、同じ質量をもつイオン群 (イオンパケット) を広げることなく、「限られた空間内」で「飛行距離を延長」することが必要です。
マルチターン型TOFMSの基本原理である"Perfect focusing"と"Multi-turn"の原理を、JEOL独自の技術で発展させたSpiralTOFイオン光学系により、限られた空間内に17 mのらせん状のイオン軌道を実現しました。イオンパケットは、らせん軌道の1階層毎に収束されるため、高い質量分解能・質量精度と同時に高いイオン透過率も実現しています。
マトリックス結晶の凹凸の影響を低減
マトリックス結晶の凹凸は、飛行開始位置の違いとなり、結果として飛行時間差となります。
SpiralTOF™-plus 2.0では、飛行距離の延長により、この影響を最小限に抑え、質量分解能が安定するとともに、外部標準法による高い質量精度を実現しました。また生体切片試料のマスイメージングのように、面積が広く、かつ不均一な試料表面の測定においても、高い質量分解能と質量精度が維持されます。
広いダイナミックレンジの実現
SpiralTOF™-plus 2.0では、検出系を大幅に改良し広いダイナミックレンジを実現しました。これにより、4桁程度のイオン強度差があるピークも同時に検出することが可能となりました。また、通常の溶液測定のみならずマスイメージング測定においても微量成分の分析が容易となりました。下記は、ポリエチレンオキシドとプロピレンオキシドを1,000:1で混合した試料の測定例です。ポリマー分析の場合はケンドリックマスディフェクト (KMD) 解析と組み合わせることで、発見が困難な微量成分の分析も可能となります。
ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシド 1,000:1 の混合物のマススペクトル
SpiralTOF™-plus 2.0は広いダイナミックレンジを実現し、微量成分の分子量分布を算出することができます。
TOF/TOF オプション
特長
第一MSにSpiralTOFイオン光学系を採用することで高いプリカーサーイオン選択能を実現し、プリカーサーイオンのモノアイソトピックピークを適切に選択可能です。
高エネルギー衝突誘起解離 (HE-CID) により構造情報を豊富に含んだプロダクトイオンマススペクトルを得ることが可能です。
JEOLの特許技術であるオフセットパラボリックリフレクトロン * により、m/z 5からプリカーサーイオンまで、すべてのプロダクトイオン情報を取得し、信頼性の高い構造情報を得ることが可能です。