"NEOARM"は、当社独自の技術で開発された冷陰極電界放出形電子銃(Cold-FEG)と高次の収差まで補正可能な新型球面収差補正装置(ASCOR)を標準搭載し、200 kVの高加速電圧だけでなく30 kVの低加速電圧においても原子分解能での観察を実現しました。
また、当社独自の収差補正アルゴリズムを開発し高速かつ正確な収差補正を自動的に行うシステムを搭載しました。これにより、ハイスループットな原子分解能観察を提供します。
さらに、加速電圧によらず高い軽元素のコントラストが得られる新型STEM検出器を搭載しました。これにより軽元素のコントラストを向上させゆく新たなSTEMイメージング手法(e-ABF法)が可能となり、軽元素を含む材料の明瞭なコントラスト観察が容易になります。
昨今、主流となっておりますリモート操作のご要求に応えるため、本体と操作卓を分離し当社の新しいコンセプトカラーであるピュアホワイトとJEOLシルバーを採用し、より洗練されたフォルムデザインに仕上がりました。
"NEOARM"に搭載されたASCORは、従来の補正装置において分解能を制限する主要因であった高次収差 (6回非点収差) を補正することができます。
ASCORとCold-FEGとの組合わせは、高加速電圧から低加速電圧まで、幅広い加速電圧において高い原子分解能を実現します。
JEOL COSMO™は、新しい収差アルゴリズム (SRAM: Segmented Ronchigram Auto-correction function Matrix) を採用したことにより、収差補正のための標準試料に入れ替えなくとも、高次の収差まで高精度かつ迅速に補正することが可能です。
一般的な補正アルゴリズムと比較し高速な処理が可能であり、操作も自動化されていますので、お客様のワークフローを複雑にすることなく、ハイスループットで流れるような高分解能観察や各種元素分析を実現します。
ABF検出器は、軽元素の高分解能観察に有効な手法として広く使われるようになってきています。
"NEOARM"では、軽元素のコントラストをさらに向上させる新しいABFイメージング法 (e-ABF:enhanced ABF) ABFに対応しました。これにより、軽元素を含む材料の原子レベルでの構造観察が容易になります。
パーフェクトサイト (Perfect sight) 検出器は、異種材料から成るシンチレーターを採用したハイブリッド検出器です。
"NEOARM"は、この検出器を搭載しており、加速電圧によらず常に高コントラストと定量性のあるSTEM像を得ることが可能となりました。
特長5
OBFシステム (オプション)*
OBF STEM(Optimum Bright Field STEM)は、分割STEM検出器で得られた各セグメント像を位相像再生の元データとして使用し、専用のフーリエフィルターを用いて画像のS/N比を最大化する新しいイメージング手法です。重元素と軽元素の両方に対し、極めて低い電子線量で高いコントラストを実現します。
標準的な環状暗視野・環状明視野STEM法では観察が困難な電子線に弱い物質に対しても、高いコントラストを維持しつつ、且つ幅広い倍率で簡単に解析することができます。
ゼオライトや金属有機構造体 (MOF) などの電子線に弱い材料では、照射電子線量を抑えつつ、軽元素を高いコントラストで観察する必要があります (通常、プローブ電流は1.0 pA未満)。
OBF STEMは、このような低電子線量での実験に非常に有効であり、低ドーズ条件かつ原子分解能レベルでのSTEM観察を実現します。
MOF MIL-101 (左) およびMFIゼオライト (右) のOBF STEM像は、いずれもシングルショットで取得され、右図のFFTパターン上で1Åという高い空間分解能が確認できています。