慢性骨髄性白血病(CML)は全白血病の15%〜20%を占める。CML患者の95%以上が特徴的なBCR-ABL融合遺伝子を有している。イマチニブ(IM)はCML治療の第一選択薬である。病状の進行に伴い、急性期のCML患者のほぼ全員とIM治療後に再発したCML患者の15%〜20%がIMに対して耐性を獲得し、耐性の発現はBCR-ABL遺伝子変異と密接に関連していた。その中でも、T315I点変異を有する患者のほぼ全員が既存の標的薬に抵抗性を示した。
本ガイドラインは、TKI治療の頻繁かつ長期にわたる中断と患者の服薬コンプライアンス不良は、有害な臨床結果につながる可能性があることを推奨している。初回TKI耐容性が不良な患者は、TKIを適時に置き換えるべきである。BCR-ABL遺伝子にT315I変異を有する患者は、ダサチニブおよびニロチニブに抵抗性である。
BCR-ABL遺伝子融合:9番染色体と22番染色体の転座によりABL遺伝子とBCR遺伝子が融合し、BCR-ABL融合遺伝子のチロシンキナーゼが細胞増殖シグナルを無限に放出して腫瘍形成を促進する。
T315I変異は、ABL1遺伝子のエクソン6の315位のスレオニン(THR)がイソロイシン(Ile)に置換され、塩基がACTからATTに変わることによって起こる。変異後、Ile315はIMと水素結合を形成することができず、置換されたIle側鎖上の付加的な炭化水素結合は空間干渉を生じ、IMの結合を助長せず、結果として薬剤耐性をもたらす。したがって、BCR-ABL遺伝子のT315I変異の検出結果は、CML患者の薬物療法の指針となる重要な指標である。
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